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01.舞のヒーロー
「舞ちゃん、俺と付き合ってくだ」
「むり」
「告ったね?」
「告ったねぇ」
「何人目? で、秒殺じゃね?」
「今年5人目。告白し終わってもいないねぇ」
私は、告白してくれた隣のクラスの男子を一人残して、友達の元に向かった。
下駄箱の向こう側に潜んでいるに違いない。
明るく楽天的な香奈と、おっとり系の希だ。
「どうせ、隠れて見てたんでしょ?」
「バレたか~」
「気配で分かるってば」
「はいはい、じゃぁ反省会!」
私には、反省することはないんだけど。
二人は反省会という名目で、どうしてもお茶したいらしい。
お金がないから、スタバやタリーズじゃなくて、フードコートなんだけど。
空いてる椅子に置いた私のカバンからは、クマのヌイグルミがちょこんと顔を出している。
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