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「お前ら、この子達がどうなっても良いのか?」
「香奈、希、いつまで猫被ってんのよ!」
「ここでバラすか~!」
「ここでバラしたねぇ」
え? という男の顔を尻目に、おっとり系の希が手首を捻り、足払いで転がす。
香奈は隙を見せた男の鼻に頭突きを喰らわせる。
希は、ゆっくりと、だがしなやかに、落とした木刀を香奈に投げ渡す。
香奈は、慣れた手つきで木刀を振り下ろす。
「せっかく猫被ってたのに!」
「私は空手を、香奈は剣道を、希は合氣道をやってるのよ」
三人が並び立ち、マフラーを舞わせる姿は、まるでヒーローの揃い踏み。
呆気にとられる俺達と敵。
「しかも、恥ずいんだけど、あれうちらが去年書いた奴」
香奈が木刀で指した先――華中の三銃士参上――の落書き。
「雅也、大河。転がってる場合じゃないぞ」
「参ったな」
「全くだよ」
決着は、じゃんけん並みに早かった。
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