06.マフラー、舞う。

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「お前ら、この子達がどうなっても良いのか?」 「香奈、希、いつまで被ってんのよ!」 「ここでバラすか~!」 「ここでバラしたねぇ」 え? という男の顔を尻目に、おっとり系の希が手首を捻り、足払いで転がす。 香奈は隙を見せた男の鼻に頭突きを喰らわせる。 希は、ゆっくりと、だがしなやかに、落とした木刀を香奈に投げ渡す。 香奈は、慣れた手つきで木刀を振り下ろす。 「せっかく猫被ってたのに!」 「私は空手を、香奈は剣道を、希は合氣道をやってるのよ」 三人が並び立ち、マフラーを舞わせる姿は、まるでヒーローの揃い踏み。 呆気にとられる俺達と敵。 「しかも、恥ずいんだけど、うちらが去年書いた奴」 香奈が木刀で指した先――華中の三銃士参上――の落書き。 「雅也、大河。転がってる場合じゃないぞ」 「参ったな」 「全くだよ」 決着は、じゃんけん並みに早かった。
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