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03.孤独な猫
空手道場からの帰り道。
私は買ったばかりのマフラーを巻いて、コンビニ経由で公園に向かった。
手には、缶切りなしで開けられる猫缶を持って。
私も誰かのヒーローになれるかな?
三日月を見ながら、憧れのゆうた君を想う。
時差二時間の国で、ゆうた君の銅像も月に照らされているはずだ。
大学を卒業したら、ゆうた君の学校で働くのが目標だ。
私は『夢』という言葉を使わない。
夢はどこかに、逃げ場を残してしまう。
だから、私は、達成可能な『目標』と考えている。
昨夜の捨て猫は、まだいるだろうか?
ごめんね。うちはペットが飼えないマンションだから。
善い人に拾われて欲しい。
でも、世の中、そんなに甘くない。
だから、私は、猫缶を買って、様子を見に行くのだ。
小中学校とよく香奈達と遊びに来ていた公園。
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