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 さざ波のように押し寄せる細かく軽い葉音に揺られながら、女は目を覚ました。  ちらちらと瞬きながら降ってくる光に一瞬目を細めたが、ふと手に触った生き物の感触に、はっと起き上がった。  そこには、昨日の黒牛が横たわっている。  昨夜、牛を連れて竹瀬山に入った女は、少しでも光があるうちに食べ物と水を探そうと、注意深く辺りを見回しながら歩いていった。  しかし何も見つからないまま、山の中は闇に包まれてしまい、困り果てたところで、牛が座り込んで動かなくなってしまった。体力が尽きてしまったのだろう。  やはり無理を強いて歩かせるべきではなかったのか。あの場に水は無かったものの、食糧となる草はふんだんにあったのだから、牛自身の判断に任せたほうが、命を延ばすことができたかもしれない。  そう後悔したが、とにかくここまで来てしまった以上は仕方がないので、女は牛と共にその場で眠ることにしたのだった。  そのことを思い出し、女は慌てて牛をさすってみた。まさか、死んでしまったのではあるまいか。  すると、牛はゆっくりと目を開けた。無事に生きていたらしい。 「牛や、私が水を探して来ますから、あなたはここで待っていなさい。きっと持ち帰りますから」  そう言って立ち上がり、さて行こうと前を向くと、思いも寄らない景色が目に入った。  昨夜は真っ暗になっていたから、自分がこんな場所にいるとは、全く知らなかったのだ。  
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