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 脱衣場の鏡は白く曇っていた。  風呂場の扉は閉まっていたものの、見えない隙間があるのだろう。中からは湿気と共に、少年の声が(かす)かに聞こえてくる。  だが、その声は脱衣場のドアを(また)げば一切聞こえない。 「んっ・・、ふぅ・・」  マサは声が出ないようにゆっくりと息を吐きながら、鼻で息を吸い、なんとか呼吸をしていた。背中にはカズ。  カズはゆっくりとマサから離れると、風呂場の時計を見て言った。 「そろそろ風呂から上がらないと長過ぎるな・・。後で部屋でお前のだけいい?」 「え・・、大丈夫だけどもう何も出ないよ・・」 「それでいいから。その時俺のもやって」  カズはシャワーでマサの身体を洗い流している間、マサは時折口の中に唾を溜めてそれを吐き出すことを繰り返した。その内の数回は排水溝に流れることなく、違う場所に流れ入った。
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