Episode3【百合子】

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「別れて下さい。慎吾と別れて下さい!」 マンションの部屋の前で私を待ち伏せていた 慎吾の今の恋人が、私に向かって叫んでいた。 「慎吾は? 夫は何て言ってるの?」 初めてじゃないだけに、私は落ち着いて彼女に問う。 「あ、慎吾は…」 「そう、別れないって言ってるんでしょ?」 「でも…」 「夫に捨てられたく無いなら、すぐに帰りなさい!」 「……」 私が一喝すると、彼女は泣きながら帰って行った。 これで何度目だろう? 男よりも、女のほうがやはりたちが悪い。 身体を重ねていく内に、夫を自分のモノだけに してしまいたいという欲望が生まれるようだ。 「ただいま!」 「おかえり。彼女、帰ったかい?」 「帰ったわよ、泣いてたけど…良いの?」 「ああ、面倒かけたね。彼女とは、別れるよ。潮時だな」 こんな夫婦生活を始めて10年… たまに、これで良いのか?と自分自身に問いたくなる。 【Episode3百合子★END】
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