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仕方ないから言った通り眠ろうとした。だが、拓海の目は開いている。俺も目をつぶることができない。目を開けたまま寝るなんて芸当はできそうにない。早々あきらめた。
俺はひたすら他のことを考えた。シャワーを浴びている拓海に言う。
「お前が目をつぶってくれないと見えちまう」
「そんなこと言われても」
拓海は気付いたようにもう一度言う。
「って結局寝る気ないんじゃないですか」
「お前だって目を開けたまま寝れるか? 無茶言うなよ」
拓海は黙って考えている。
「もう帰りてえ」
そんなことを言う。別に誰に見られようといつも通りにすりゃいいのに。
シャイなのか、ただ単に俺が気に入らないのか。多分後者だな。俺はもう黙ることに決めた。
久実子は丁寧に前戯をする女だった。俺はめんどくさくて、すぐ入れようとしてしまうのだけど。
久実子の口の中で拓海のものがだんだん大きくなる。そういえば久実子はフェラがうまかった。
自分のものじゃないのに気持ち良く感じる。拓海も感じているようだ。
他人のものでいけるはずないけど。
一度口の中で出させられ、また少しずつ前戯を始める。1年生は体力有り余ってるなと思う。俺だってこんなすぐには二回もできないぞ。
たった1年の違いなのに。それともセックスの相性だろうか。確かに俺は拓海ほど感じていなかった。
最初に童貞を捧げたとき、こんなものかと思った。
久実子もいかせられなかったし、ちょっと悔しかったからいろいろ調べて勉強したのだ。
いかせられるようにはなったけど、今の方が楽しんでやっている気がする。
ちぇっ。結局丁寧な奴が好きってことか。
なんとなくここにいるのが嫌になった。逃げ出したくなった。まじまじと俺じゃなく拓海がいい理由を見せつけられているようで。
くそっ。何で俺はこいつの中になんて入ったんだ。みじめなだけじゃないか。わざわざそうなった理由はなんだよ。ただの気まぐれか? それとも……。
完璧に諦めたら、成仏できるっていうのか。本当に勘弁してほしい。死んでまでどうして嫌な目に合わなきゃならない? そんなことならあっさりと別れて、引きずらなきゃよかった。そしたら死ぬこともなかったのに。
バイクなんて乗るんじゃなかった。後悔してももう遅いのに。
俺のいない世界で、二人で生きていけばいい。俺にはもう関係ない。これ以上見せつけるんじゃないよ。
俺は眠ろうとした。勝手にやってろと思ったから。
なかなか眠れなかったけど、うとうとしてた。
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