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声が聞こえる。何故だかわからないけど、起きなきゃいけない気がする。
でも、眠い。もっと寝ていたい。
「慎平さん、慎平さん。起きてください」
うーん。
「こんなところであきらめるんですか?」
あきらめる? 何の話だ?
「いい加減にしてくださいよ」
頬に鈍い痛みが襲ってきた。頭をげんこつで殴られたような感覚もする。
「痛えな」
「慎平さん!」
もう。うるせえな。せっかく人が気持ちよく寝てたのに。
「何だよ」
「良かった」
ほっとしたような拓海の声がする。
一体何なんだ?
そういえばまだ拓海の中にいたんだと気付く。
ここはどこだ? 病院?
拓海は病院にいるようだ。
「こっち見てくださいよ」
「こっち?」
拓海が向いた方向に誰かが寝ていた。
いや、誰かじゃない。俺だ。
「え?」
「死んでなかったんですよ。慎平さんの体です」
俺は全てを理解した。
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