第十五話 -愛情-

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◇ 「なんだってリュコスは今更んなこと…ッ」  アイムが仲間に頼んで用意してくれた魔界式の馬車の荷台に乗ったヘラクレスが叫ぶ。隣に乗っていたアイムが物悲しい目で答えた。 「きっと今までずっと溜めてたんだね。明るく振舞ってはいても、辛い気持ちをずっと抱え込んでたんだよ。周囲の人には面倒見のいいお兄さんとして頼られていても、彼の気持ちに気づいて寄り添ってくれる人はいなかったんだね…。悲しいね…」  黙れ悪魔と言いたくても今回ばかりは何も言えない。ケイも、ヘラクレスも。 「……後で、いっぱい謝るよ。んで、いっぱい話、聞く。リュコスにも、レピオスにも、ピラムにも…。だから…今は…」 「うん。わかってるよ。アルテミスの方は僕たちで引き受けるから、ケイくん達はアポロンの方よろしくね」  すっかり仲間になっているアイムがいつもの調子で言うと、ヘラクレスが苦い顔で言う。 「…アポロンか…昔一度戦ったことがあるが…」 「本当か…ッ?! やっぱ…強いのか?」 「オリュンポスの中じゃ、トップ10には入るだろうな。ゼウスの仲裁で引き分けになっていなければ、負けていたのは俺の方だったかもしれん」
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