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次の瞬間、部屋は炎に包まれていた。一瞬気を取られた隙にピラムが脱出したことを知ってアルテミスが軽く苦笑する。
「…やってくれるじゃない? この私を出し抜くなんて」
見慣れない悪魔が部屋の外を埋め尽くしていた。
◇
「さっすが予言の神…ッ!! うまくこっちの作戦を読んで脱出してくれると思ってたぜッ」
都合のいい事を叫びながら笑っているケイの横に並んで走りながらピラムが余裕のない表情で叫ぶ。
「…まさか…悪魔と契約したってこと…ッ?!」
「あー…そんなとこかな」
「ちょ…ッ、馬鹿なのッ!!?! 条件はッ?!」
「まだ聞いてねぇ」
「もっと馬鹿なのッ!!!!? リュコスより馬鹿でしょアンタッ!!」
「…………」
必死に強がるピラムの表情からはどこか安心したような気配が確かに感じられた。心の中だけで軽く苦笑してケイが続けた。
「ピラムならもう見えてるかもしれないけど、クレスを呼んだ。レピオスはあいつに任せて、俺とピラムはリュコスを助けてから二人と合流し…」
突然立ち止まったピラムにケイが思わず立ち止まって振り返る。
「?」
色の抜けた顔でピラムが呟くように言った。
「…………急ごう。クレスはやばい」
「あ、ああ」
今度は一体何が見えたのか。あえてそれは訊かずに走り出したピラムの後を追うようにケイも走った。
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