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◇
弾幕のように飛んでくる矢をすべて砕き落とすのに必死でなかなか間合いを詰められないヘラクレスに、アポロンが弓をひきながら楽しそうに言った。
「いいねぇ…ッ、あの時親父に邪魔された戦いの決着といこうじゃねぇか…ッ!!」
砕けた壁の巨大な破片を軽々とぶん投げてヘラクレスは叫んだ。
「貴様だけは…この場で粉々にしないと気が済まんッ!!」
投げた破片を盾代わりに飛んでくる矢をすべて防ぎながら突っ込んでくるヘラクレスを余裕でかわしながらアポロンが鼻で笑う。
「やれるもんならやってみろよ…ッ!!!」
アポロンの挑発にヘラクレスの理性が本気でぶっ飛びそうになった瞬間だった。
「…………ッ!!」
衝突の衝撃で周囲の破片が吹き飛び、窓がすべて砕け散る。
突然その場に現れたケイがヘラクレスの武器を素手で止めていた。
「……マジかよ。どんな馬鹿力だ…?」
さすがのアポロンも呆気にとられて突っ込みを入れるしかない。
「放せ…」
警告してくれたのは、かろうじて残っていた理性だったのかもしれない。
武器を押さえたまま、ケイはまっすぐにヘラクレスの目を見て言った。
「『また』あいつから親を奪う気か?」
「……ッ」
「後悔してるんだろ? レピオスから師匠を奪ったこと。だったら…もう同じ間違いをしちゃだめだ」
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