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「冥王に会った時に言われたんだ。俺も…どうやら半神らしい」
「………」
「だからなのか、それとも今の俺が人間としての記憶しか持ってないからなのか、それはわからないけど。俺はさ」
窓から細く入った日の光が、テーブルの上の本やカップを照らしていく。
「この世界に来て出会ったのが半神達で、良かったと思うよ」
◇
その後も少しヘラクレスと話して、アスクレピオスの私室から出る。いつもの執務机のある部屋でケイを待っていたらしいピラムが淡々と言った。
「…いったん物理世界に戻るよ。これ以上ここにいると会社に遅刻する」
「あ、ああ。そっか…。そんな時間か」
最近冥界にいる時間が長すぎて、時折自分が物理世界の住民でもあることを忘れそうになる。
「わかってると思うけど、俺がいない間に襲われたら迷わずクレスに守ってもらいなよ。今怪我したら…治らないからね」
「そう…だな」
チラッとアスクレピオスの部屋の扉を見たケイに、ピラムが苦笑した。
「ケイも物理世界に戻ったら?」
「?」
「………ナナミを頼むよ。俺はこっちでの記憶を東寺の方へ持っていけない。これはケイにしかできない」
好戦的な顔で指さして言ってくるピラムに、思わず気合の入った顔で叫ぶ。
「お、おう…ッ! 任せろッ」
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