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少し重い鉄製のドアを押し開けて、一階の非常階段から地下に降りる。
ドアに鍵がかかっていないことを少し不思議に感じたが、それよりもさっさとこの茶番を終わらせて家に帰りたい気持ちの方が大きかった。
廊下の電気はついていた。若干重い空気と雰囲気が気になったが電気がついているためか地下とはいえ他の階と大差ない。
何も張られていない殺風景なオフィスのドアを開けると、嵯峨がいた。
「何してんの? お前」
我ながら間の抜けたセリフだと、ケイ自身思いながらも他にかける言葉が見当たらない。
壁にくっつくようにして三角座りで隠れるように縮こまっていた嵯峨がガタガタ震えながら信じられないような目でケイを見つめていた。
「ど…どうやって入ってきたの?! ど…どどドアが…あかなくて…」
「ドア? いや普通に開いてたぞ? つか、嵐山と綾部さんは?」
「…そ…それが…」
嵯峨が言うには、三人は地下の部屋を一通り見て帰るつもりだったらしい。
ところが、女子更衣室の中を見ているときにハルナが動かなくなってしまった。
「最初は具合でも悪くなったのかと思って、嵐山くんと二人で綾部さんの両脇を抱えて外へ出ようと思ったんだ。でも立ち上がった瞬間に…」
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