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「…………」
話を聞きながら、ケイは自分が入ってきたとき念のためにドアを開けたままにしておいて本当に良かったと思った。とにかく嵯峨を落ち着かせながら自分に言い聞かせるように話す。
「落ち着けって。嵐山ならさっき俺に電話してきたよ。お前、後輩二人にからかわれてんだよ。大体いきなり下半身が消えるとかありえないだろ。嵐山が自分で死んだふりしてただけだって。綾部さんもグルだったのかな…? まぁ、そこはわかんないけどお前がオフィスで彼女を探している間に入り口付近で隠れていた彼女が外に出てカギをかけたって考えればおかしくはないだろ? ドアが開かなくてお前が中でビビってんの確認してカギを開けてから嵐山が電話で俺を呼んで助けに来させたんだろ」
「電話…て…、ここ、電波はいらないよ? 僕も携帯で助けを呼ぼうとしたけど、駄目だったんだ」
嵯峨はまだ震えていた。つられて震えてしまわないようにケイが無理やり笑顔を作って返す。
「ああ。嵐山もそう言ってたよ。だからわざわざ内線使ったんだってさ」
「……内線電話って…このオフィス内にしかなかったよ…?」
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