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「そういえば、神谷さん」
そっと胸を押さえていたあたしに、四ノ宮くんが思い出したように、
「お母さんが、家に友達連れて来てもいいよ、って言ってた。だから、良かったら、今週の土曜日に遊びに来おへん?」
と微笑みかけた。
「えっ!?いいの!?行く!」
思わず大きな声を上げたら、
「何、朝から四ノ宮とイチャイチャしてんねん、神谷ぁ」
「神谷と四ノ宮って、仲良かったっけ?」
サッカー仲間の沢渡くんと小山くんが、話をしているあたしたちに気づき、にやにやと笑って問いかけて来た。
「えっ!?イチャイチャ!?してない!」
からかわれたことにうろたえてしまい、あたしは上ずった声で否定すると、
「じゃ、じゃあね!四ノ宮くん!」
慌てて四ノ宮くんの席から離れ、自分の席に戻った。
(あ~、びっくりした!)
クラスメイトにからかわれるのはイヤ。だから、四ノ宮くんのことが好きだっていうのは、秘密にしていたい。
(だってまだ、本人に好きって言ってないし。人づてにバレるのなんて、サイアクじゃない)
「どうしたん?結ちゃん。四ノ宮くんと何を話してたん?顔が赤いよ?」
カナちゃんがあたしを見て小首を傾げたので、あたしは慌てて、
「な、何でもないよ!世間話してただけ!」
両手を横に振って、ごまかした。
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