2.T字路の家

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「そういえば、神谷さん」  そっと胸を押さえていたあたしに、四ノ宮くんが思い出したように、 「お母さんが、家に友達連れて来てもいいよ、って言ってた。だから、良かったら、今週の土曜日に遊びに来おへん?」 と微笑みかけた。 「えっ!?いいの!?行く!」  思わず大きな声を上げたら、 「何、朝から四ノ宮とイチャイチャしてんねん、神谷ぁ」 「神谷と四ノ宮って、仲良かったっけ?」 サッカー仲間の沢渡くんと小山くんが、話をしているあたしたちに気づき、にやにやと笑って問いかけて来た。 「えっ!?イチャイチャ!?してない!」  からかわれたことにうろたえてしまい、あたしは上ずった声で否定すると、 「じゃ、じゃあね!四ノ宮くん!」 慌てて四ノ宮くんの席から離れ、自分の席に戻った。 (あ~、びっくりした!)  クラスメイトにからかわれるのはイヤ。だから、四ノ宮くんのことが好きだっていうのは、秘密にしていたい。 (だってまだ、本人に好きって言ってないし。人づてにバレるのなんて、サイアクじゃない) 「どうしたん?結ちゃん。四ノ宮くんと何を話してたん?顔が赤いよ?」  カナちゃんがあたしを見て小首を傾げたので、あたしは慌てて、 「な、何でもないよ!世間話してただけ!」 両手を横に振って、ごまかした。 *
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