迷い込んでみよう

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   壱花が出て行ったあと、閉まった扉を見ながら倫太郎は思う。  なにが私を癒してくださいますか、だ。  甘えるな、莫迦者め。 「失礼します」 と入ってきた木村がこちらを見てちょっと笑うと、 「社長、なにかいいことありました?」 と言ってくる。  いやない。  なにもないぞ。  いや、本当に……と思いながら、倫太郎は、みんなが置いて行った書類に目を通すフリをした。
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