七月

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七月

 芝田くんのこと、もっと知りたいなぁ。  彼らが入社して三か月が経ち、報告会はもう開かれなくなった。 みんな一通りのことはできるようになってきたので、私の役割はもうほとんどない。  憎たらしい赤木と安田もここまで育ったがんばりは認めざるを得ない。  芝田くんは、仕事のがんばりももちろんだけど、毎朝寝ぐせのないストレートな髪や、パソコンを打っているときのきれいな指や、通った鼻筋や、肌艶や…なんかもう全部がかわいいしかっこいい。  あれから芝田くんはすっかり私の頭の一部に住み着いてしまった。 朝起きて一番に思い浮かぶのは芝田くん。 会社に行くのをこんなに楽しみに思うなんて、今までなかった。会社にいる時間は芝田ウォッチングタイム。 意識しすぎて最近はなかなか声がかけられないので、芝田くんの周りを用事があるふりをして意味もなく行ったり来たりして声をかけられることを期待する。
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