21人が本棚に入れています
本棚に追加
えくれあ 様作 【コラボ作品】 ヴァンパイア凪咲
コラボ作品【St.Evilnight Saga ~血華繚乱~より】
誕生日プレゼントにと、ヴァンパイア凪咲のイラストを、えくれあ様が描いて下さいました!!https://estar.jp/pictures/25613926
えくれあ様 https://estar.jp/users/195167654
【St.Evilnight Saga ~ 幻の女子会 ~】
(出演:ヴァンパイア凪咲(V凪咲)・ヒューマン(筆者)凪咲(H凪咲))
はあぁと意味深な溜息をつくヴァンパイア凪咲を見たヒューマン凪咲は、パソコンに向かってカタカタやりながらその美貌に目を向ける。
何というか、ちょっと悔しい。
何が悔しいって、あの美貌といいスタイルといい、書いてる本人とは雲泥の差だからだ。ちょっと溜息をついただけでも絵になってしまうのだから、考えものである。
しかし、そんなことは噯にも出さない。
彼女に負けたら最後、ブンブンと振り回されて予定通りに着地出来なくなる危険性があるからだ。今回は本当に負けるわけにはいかない。打ち合わせ通りに進めるために!!
H凪咲「そんなに溜息ついて。神父様のことでも考えてるの?」
しれっと爆弾を投下すると、案の定俊敏に反応した。さすが猫を難なく捕まえてエサにする子である。
V凪咲「下僕のことですって? そんなわけないじゃない。ご飯のことよ」
そう食って掛かってくる彼女はちゃんとエプロンを新調しているのだから、一応神父様の為に手料理を作るつもりはあるようだ。それが例え、有毒魚だったとしても。
H凪咲「あらそう? そんな照れなくても、みんな貴女の心内なんて知ってるのよ? 素直になったら?」
V凪咲「うるさいわね。あれは下僕よ。私のしもべ。それ以外の何だって言うのよ」
H凪咲「はいはい。素直じゃないんだから♡」
微笑ましいわねぇと笑ってカタカタとキーボードに文字を打ち込むヒューマン凪咲に、ヴァンパイア凪咲はルビーのように赤く鋭い眼差しを向けてくる。
正直、いつ噛みつかれるのかとちょっと冷や汗が背を伝うが、そこは気にしていたら物語など書けない。
V凪咲「何ニヤニヤしてるのよ。まさか続編、私に何かさせようとしてるんじゃないでしょうね?」
H凪咲「何かはしてもらわなきゃ困るでしょ。公開はクリスマスなのよ? ロマンチックな聖夜」
V凪咲「何かって、何を企んでるのよ。自分は書くだけで済むからいいかもしれないけれど……」
H凪咲「あらやだ。ちゃんと貴女の幸せを考えてあげてるわよ?」
V凪咲「私の幸せって何よ!! まさか……」
さっと頬に朱を滲ませたヴァンパイア凪咲を見て、「罠にかかったわね」と、ヒューマン凪咲は心の中でニヤリとほくそ笑む。
H凪咲「そうねぇ、選ばせてあげる。苦い思いをしたいか、痛い思いをしたいか、恥ずかしい思いをしたいか、さぁどれだ!! 今ならもれなくオマケ付きよ」
V凪咲「どれもロクな選択肢じゃないわよ」
眉根を寄せたヴァンパイア凪咲の脳裏に、ピンと閃くものがあった。
この選択肢、ロマンチックな聖夜だというなら、どう考えても入らなくちゃならないものがあるはずなのに、何故か一つも含まれていない。
ヒューマン凪咲には苦手分野が色々ある。そのことに気が付いたヴァンパイア凪咲は、ふっと心の中で笑った。
V凪咲「さっき、自分でロマンチックな聖夜だって言ったわね? それなのに、何で選択肢の中にそれらしいものがないのかしら?」
H凪咲「えっと……」
V凪咲「私の幸せを考えてくれるなら、ないのはおかしいと思わない?」
チッ。気が付いちゃったか、私の苦手分野。と頭を回転させてこの窮地をどう切り抜けるか考える。ここで負けたら駄目だ。ヴァンパイア凪咲に振り回されることだけは避けなくてはならない。
そうだ。書くのは苦手でも、別に言う分にはタダだ。
私は瞼を伏せてシュンッと切なげな表情を作ると、意味深に息を吐いて見せた。
H凪咲「そうね。苦手だと思って、いつまでも逃げてたら貴女が幸せになれないわね。でも感心しちゃったわ。貴女、覚悟は出来ているのね?」
V凪咲「覚悟?」
H凪咲「そうよ、覚悟。私としては、貴女が落ち着いちゃうのはちょっと淋しいけれど、それも成長だと思えば背を押すしかないわね」
V凪咲「背を押すですって? 待ちなさい。一体何を……」
H凪咲「何って、決まってるでしょ? 貴女が素直に神父様にその気持ちを告白できれば先に進めるのに、何で本編の最後殺しちゃってから心の中で呟くかなぁ。事切れる前に耳元でちゃんと囁きなさいよ。人間、召される直前まで耳は聞こえてるんだから!!」
V凪咲「だから言わなかったのよ。ヴァンパイアとして蘇る相手に、何でそんなことが言えると思うの」
H凪咲「お陰で神父様は何で貴女が自分を選んだのか知らないし、逆に神父様が貴女のことをどう思っているのか、私は知らないのよ!! 何だってこんなブラックボックス抱えて苦手路線突き進まなきゃならないのよ!! お馬鹿!!」
V凪咲「原作者に聞いたらいいじゃないの」
H凪咲「私、そんな勇気ない」
V凪咲「……編集作業中、恥を捨てたかのような質問をしたくせに、今更それを言うの?」
H凪咲「かくなる上は、貴女を神父様の腕の中に放り込んで様子を見るしかないわね」
V凪咲「な、何でそんな体当たりみたいな横暴な手段に出るのよ」
H凪咲「それで何の反応もなかった場合、貴女は諦めるか口説き落としに行かなきゃならないのよ?」
V凪咲「は? 私に口説けと言うの?」
H凪咲「無理なら……色仕掛けでもしてみる?」
V凪咲「色仕掛……ちょっと、何を考えて」
H凪咲「えぇっと、あの当時の寝衣は……?」
V凪咲「待ちなさいポンコツ。私に公衆の面前で何をさせるつもりっっ!!」
H凪咲「私の苦手分野だけど、ここは涙を呑んでお勉強するわね。ロマンチックな聖夜らしく、貴女が幸せになれる道を歩めるようにレールを敷いてあげる。あ、これなんかどう? きっと神父様もイチコロだと思うわ」
インターネットで調べた画像を見せると、拳を握りしめてプルプルとヴァンパイア凪咲が震える。
V凪咲「……私を一体何だと……!!! 腹立つから血を提供なさい。私の下僕にしてやるっっ!!」
H凪咲「やぁよ、痛いもの。神父様に提供してもらいなさいよ。ついでにイチャつけていいんじゃないの?」
V凪咲「イチャ……やっぱり噛みつくんじゃなくて、爪で刺し抜いてやるわ」
H凪咲「ほらほら、もしかしたら両想いかもしれないわよ? さっさと素直になった方が、楽しい時間が増えると思うんだけど?」
V凪咲「その他人事みたいなお気楽さが腹立つわね。あのロクデナシがこの乙女心を理解してるとは思えないことくらい、ポンコツ、分かっているでしょう?」
H凪咲「……それは、否定できないわ」
V凪咲「ほら見なさい。私の苦労が分かるなら、ちょっとは協力しなさいよ」
H凪咲「了解」
そしてヒューマン凪咲はヴァンパイア凪咲の恋が実るように、協力させられる羽目になったのでした。
高杜観覧感想文:
素敵なお祝いをありがとう♡
可愛いヴァンパイア凪咲。今度は何を企んでいるのかしら?
乙女な顔をしているから、もしかして愛しい神父様のことかな?
なんて考えながら書き出してみたところ……どうやら恋模様に悩んでいるご様子。
神父様、恋愛方面は音痴な気がするから、苦労してたのね。
ということで、協力させられる羽目になった女子会でした。
ご要望頂いたV凪咲とH凪咲のコンビ、いかがでしたでしょうか?
続編のヒントが少しばかり入っておりますが、まだまだお口チャックなのであまり語れず申し訳ないっっ!!
楽しみにしてて下さい♡
えくれあさん、可愛い乙女なヴァンパイア凪咲を、ありがとうございました!!
❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀
コラボ作品【St.Evilnight Saga ~血華繚乱~】
※本編は、ポラードさんのところで公開しております。
作品リスト「コラボ作品関連紹介」https://estar.jp/collections/2248187からお飛びください。豪華スター特典もございます。
❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀
最初のコメントを投稿しよう!