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「 」
いったい、なにを言ったの?
はじめに見えたのは、自分を持って優雅に食事をする貴婦人の姿
切り分けた魚を口元へと持っていくのを静かに見ていた
わたしは自分で動くことなんてできない
物に足が生えるわけでもないし、不思議な力で何かできるわけでもないのだから
「ここはニケロが管理してるんだ。めちゃくちゃ綺麗だろ!!」
(こくこく)
綺麗なお花
甘い香りが風に乗ってわたしの元へと届きました
初めての甘い香りにラビの服を掴んで、そしてどうやって伝えようか悩んでしまった
手を周りにぶんぶんと動かしてみる
でも、あれ
伝わっていないの
「あー、あとで話し方教えるからまずは場所を覚えようよ」
「……」
「あっちにガゼボがあるんだけど…ティーとテディも気になるだろ?」
ティーと、テディ
テディはたぶん、わたしと同じぐらいの女の子が話しかけていた男の人…かな?
細い布に包まれた姿は見たけれど…声は聞いたことがなかった
「こっちだよ」
正面玄関を逸れて、薔薇の咲かない低木の隙間を進んだ先には二人の人影
白い椅子に座って
小さいスプーンに乗せられたクリームブリュレを口元に運んでいた
わたしたちに気がついたのか二つの目がわたしを見た
「…あら?ラビと……新しくきた子じゃない。私はティーよ。よろしくね」
「……」
「あらあら。……テディも、よろしくだって」
(こく)
白のレースでできた手袋を差し出されて、私は手を取った
そしてもう一つ
包帯だらけの手を握った
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