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家事とは
彼女は、俺と違って家事能力が高い。
家事能力ゼロの俺に最初は大雑把に今ある道具だけでどうにかしようと、掃除の仕方を教えてくれたが、それにも限界があったようだ。
「だめだこりゃ」と感じたのか、彼女はすぐに新しい掃除用具などを買って来いと俺に命じた。
『掃除機だけじゃらちがあかない。っていうかさ、掃除機だけで掃除ができると思ってるの?』
「うん」
『……。わかった。私が悪かった。だから明日の帰りに掃除機以外の掃除用具を買ってきて!』
そういいながら俺にメモを取るよう言うと、彼女はつらつらと買うべき掃除用具の名前を言い始めた。
なんだよ、掃除機以外の掃除用具って……あれか、小学校で使ったホウキとか、あとはゾウキンか?
いまの時代にゾウキン使うのか?
メモを取らずにそんなことを考えていると、また彼女からのちょっと怒った声が落ちてくる。
はいはい……メモしますよ、メモ……メモはしますよ。
正直面倒くさかった俺は、数日何も買わずに仕事から帰ったが、
掃除用具を買ってくるまで彼女が『枕元で小言を毎日つぶやいてやる』と脅してきたため、しぶしぶ買いに行った。
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