家事とは

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それから俺についてを学んだ彼女が、 今度は大雑把ではなくひとつひとつを丁寧に教えてくれた。 今まで実家暮らしだった俺にとっては、手慣れていないものばかりだ。 彼女に教わる前は、ザ・男の一人暮らし! という言葉がピタリとあてはまる暮らしぶりだった。 テキトーに掃除機をかける。拭き掃除はしたことがない。 『それでよく暮らせるよね……』 「死にはせん」 『まず最初は上のほうからほこりをキレイに取って。隅の手の届かないところもね。すっごいよ、ほこり』 そういわれて、買ってきたクイッ〇ル。 テレビの裏、本棚の裏、掃除機の入ることができない隅々をクイック〇を「サッ」と通すだけであら不思議! なんて、CMみたいなことを思いながらせっかくの休日に掃除をする俺。 だって、しないと彼女が『枕元だけじゃなくて、トイレ・風呂にまでついていって、掃除しろってつぶやいてやる』っていうから……。 さすがにトイレは嫌だろ、トイレは。 今までの俺は、トイレは水が青くなる洗浄剤とやらをポトッと落とすだけ。 便座と床は、汚れたらウエットティッシュでさっと拭くだけ。 洗濯…洗濯機は家電量販店で「一人暮らし応援セット」なるものを買った際についていた。 しかーし、俺は洗剤などをそろえたり、洗濯物を干したりすることが面倒で、コインランドリーに行っていた。 そこは、説明書きのとおりにドラム式の洗濯機に洗濯物を放り込み「スタート」ボタンを押すだけ。 今どきのコインランドリーは、すでに洗剤や柔軟剤などが洗濯機にセットしてあり、自分でやる手間がない。 乾燥もできるから干したりする手間もなく出来上がる。これ最高。 まぁ、俺は柔軟剤が入っているなんて知らなかったがな! 『そこ別に胸を張って言うところじゃないから。すごい箱入り息子って感じ。いいよ、私教えるよ』 はぁ……と、ため息とともに吐かれた言葉を、俺は軽く聞き流した。
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