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永遠に宝物
こんなこと言っても大抵、信じてもらえないのだけど、僕には前世の記憶がある。
三途の川の向こう側で、僕はずっと待っていた。
美嗚と触れ合える時を、次の時代にはふたりで、なにがあろうとも離れず、永遠を生きていきたいから……。
美嗚が僕を信じて、投げてくれた半分の眼鏡。
魔法の眼鏡が、スローモーションで宙を舞う。
これまでの全ての走馬灯を、僕だけが見たのかもしれない。
これから魔法の眼鏡は、美嗚と僕とでひとつ。
「手を繋いでよ」
握り返してくれた。美嗚の手は、これからの未来信じさせた。
日に当たらない美嗚は白く、抱き寄せれば、とても細くて、苺の甘い匂いがした。
お姫様みたいに弱弱しく、僕が守らなきゃいけない気がした。
ふたりが白く光って、たった5秒後には、手をぎゅっと繋いだ、元気な産声があった。
(この世界に君といる)
そう思うだけではにかむ。
家族だから、けして明かさない。
それは永遠に言わない。
美嗚は僕の……。
(宝物)
end
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