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*  うなじに貼りつく細い髪を掻き分けて、親指の爪でくすぐると大袈裟なほどにびくっと華奢な肩が揺れたが、全然抵抗する素振りはない。さっきバスルームできれいにしてあげた時だって、取り乱したのは一瞬で、物分かりのいいコウちゃんはやり方を覚えると初めてでも続きを自分でやる従順な良い子だった。素直でこんなに可愛いのに、勿体ない。あの後輩ーー成井田は今日コウちゃんを家まで送ってかなかったこと、後悔しないかな? 他人事ながら心配になる。  中をしっかり洗って、言われた通り入り口をローションでひたひたにして、大きめのバスローブを羽織ってベッドに座るコウちゃんは、もうすっかりウリの男の子みたいだった。 「まだ酔ってる?」 「うん」 「ほんとに、最後までしちゃっていいの?」  素人AVの出演者インタビューみたいな安っぽいセリフを言ってみる。コウちゃんは、一拍も置かず「うん」と答えた。 「初めてが、こんなおじさんでもいいの?」  ちょっとおどけて言うと、これには目元を赤くして少し笑ってくれた。はにかむ顔が可愛い。 「おじさんて、ユタさん、何歳なんですか? 見た目はすごく格好いい」 「コウちゃんよりも十個上だね」 「えっ」  素で驚くコウちゃんの柔らかい頬っぺたをむにっと掴んで引き寄せる。 「キスしていい?」  これも簡単に頷いてオーケーしてくれるので、ちゅっとする。それから引き締めている唇をねっとりしつこく舐めると、ようやく入り口を緩めてくれた。 「あ……」  舌が舌に触れるのはさすがに抵抗があるらしく、コウちゃんは顎を引いた。でも逃がさず、頭を押さえて少し強引に舌を差し入れる。 「んぅ……」  ネットでやり取りしていたとはいえ、さっき会ったばかりの男に、よく許してくれる。失恋のショックと、ずっと抱えて発散出来ずにいた性への興味、そんなところだろうか。
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