まずは勉強?

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まずは勉強?

 明菜は受験に勝った。  浮かれてはいられない。  好きな勉強に打ち込むため、あらゆる誘惑から身を守る必要がある。  なのに、お姉ちゃんたら。  明菜は姉から進学祝いとしてプレゼントされた口紅を、手の中に眺めた。  ちょっとくらい、いいよね?  クルクルとひねると、初々しくて落ち着いたピンク系の口紅が出てきた。 「可愛い……」  しばらく見て楽しんだあと、やおら鏡に向かって身を乗り出し、唇に当てて引いた。 「───ぎょぎょ!?」  口紅は根元から折れた。  思えば、勉強ひとすじに生活してきた自分である。リップさえ、塗ったことがなかった。力加減なんて知らない。そもそも、どれくらい出して塗る物だったのか。 「お姉ちゃ~ん!」  明菜は幼児の頃のように、姉の部屋の戸を叩いた。
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