トオマ エイム

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「ヒット!」  これで何度目だろう。雑木林の一帯に木霊する飛弾を告げる音。現在、こちらのチームは私を含めて二人。無線を駆使してこの状況を打開する方法を模索。 「相手も二人だ。俺が引き付けるからその隙に狙ってくれ」  チームリーダーの作戦に「了解(ラジャー)」と応え、弾をリロード。木の陰から相手の姿が視認できた瞬間、この引き金を押し込んでやろう。 「準備できました!」 「行くぞ」  リーダーが銃を構えて飛び出した。途端、一斉に銃声が鳴り弾が木々に反射し始める。今、相手の二人は囮の彼に注意が向いているに違いない。 「まず一人」  リーダーを仕留めた一人の背中を狙撃。被弾申告を無視して最後の一人を探し出す。警戒が強まる前に位置情報を掴むのがベストなのだが。その時、目の前――ゴーグルの傍を弾が物凄い速さで通り抜けた。それはゴーグルからわずか四センチという距離だ。当たっていないのは打った本人が一番分かっているだろう。あと少し身を乗り出していれば間違いなく被弾していた。  だが同時、不発は自分の位置を明かしているようなものだ。わざと外してカウンターを試みた相手を狙い撃つという戦術もあるが、相手のチームは残り一人。その戦術は人手不足、よって援護射撃はない。  私は間髪入れず最後の一発を相手のゴーグルへ鮮やかに命中させて見せた。ヒットを申告せずともプラスチック製のゴーグルに鋭い一撃が当たれば、誰の耳にも明らかだ。これで敵チームに行動可能な者はいなくなった。つまりこのフィールドを制したのは私達のチームである。 「おめでとう。いやぁ見事だった」 「いいえ、こちらも余裕があったわけではないですし」 「謙遜しなくても良いよ。君の実力は業界に知れ渡ってるんだから」 「ええ!?」
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