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「おい」不意に呼びかけられ、心臓が激しく上下に揺れた。「俺がお前の処女をもらってやるよ」
少女には密かに想いを寄せている男がいた。しかも先日、向こうも自分に好意を寄せていると友人を仲介して知ったばかりである。
俗に言う、両想いというやつだ。明日にでも想いを打ち明けよう、そう考えていた。
彼女は運命というものを激しく恨んだ。
性的暴行は報道の中でしか起こり得ない事象だと思っていたのに、まさか自分が強姦されるなんて思いもよらなかった。
もやし体型の男は少女の履いたカーキスカートを産毛を撫でるよう丁寧に捲り上げ、下着を剥ぐように荒々しく脱がす。
そして露わになった彼女の股座へ粗悪な性器を突き刺した。
「――――ッ!?!?」
一方が処女の性器を弄んでいる間、もう一人が小さな咥内へ逸物を滑り込ませる。
水風船のように膨らんだ睾丸が視界を遮り、むせかえるような臭いが鼻につく。その悪臭たるやこの世のものとは思えない酷さだった。
「お、俺もう我慢できねぇ……出すぞッ!」
少女は膣が生暖かくなる感触を覚えた。次いで、間髪入れず喉奥にぬるま湯を注がれたような感覚に襲われた。
目が飛び出んと言わんばかりに見開き絶望のいろを孕んだ涙が零れ落ちる。咳き込むことも許されず、むしろ飲み干すように強制された彼女は断腸の思いで指示に従った。
初めて口にした滓液は唾液と混じりあって、それはそれは形容し難い気持ち悪さだった。
こんな汚物を日常的に飲めるAV女優は人理を超越した何かではなかろうか。
「よし。交代な」
二人の男は互いに位置を入れ替わる。
「俺が滑りをよくしてやったから挿れやすくなってるはずだぜ」
汚臭を漂わせる少女の口元を見ながら小太りの男に告げるも、よほど夢中になっているのか返事がない。膣に陰茎をぶち込むのに手間取っているのだろう。
じれったくなった男は「早く挿れろ」と強く急かした。
ピシャッ。
「ぅん?」
男は顔をしかめた。やせ細った頬に何かが散ったようだ。
雨粒と似た感覚が今日の天気予報を思い返す。
――天気予想図に雨マークはなかったはずだが……。
男はゆっくりと顔を上げて相方に尋ねようとした際、思わず絶句した。
何と、相方の喉元に刃渡り十センチ程度のナイフが突き刺さっているではないか!
開いた口が塞がらないとは、こういう時こそ相応しい諺だと実感する。
数秒の忘失から我に返った男が自分の頬に触れた、その時。場の空気を読んだかの如く、射し込んだ月光が皮の薄い手のひらを照らす。
「……なんだよ、おい」
男の視界に映る光景は紛れもない現実。
自分の手で拭い取ったのは雨粒ではなく、すっかり見慣れた赤黒い液体だった。
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