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8話『味わう唇』☆彡
睡魔で微睡みそうになりながらも自動発動したユニークスキル《夢精》の影響は千隼の躰を火照らせ、その熱を落ち着かせることができる康煕はゆっくりと顔を近づけ優しいキスを落とした。
「・・・んっ」
愛しい彼を怯えさせないように、何度も、何度も、啄み離し微笑むと驚いた顔があった。
だが、頼れる相手は目の前の男しかいないことも本能で理解していた千隼はおずおずと背中に手を回す。
正直、男と口付けとか鳥肌ものなのだが見知らぬ相手ではなく彼がよく知る相手だからこそ許せるのだろう。
「怖いことはしないから安心しろ、千隼のペースでゆっくりと感じてほしい」
それは、何も知らない彼を気遣ってのこと・・・
千隼の顔を覗き込み、額、瞼、頬と、順を追って康煕はキスを落としていき最後に唇へくちづけをした。
ちゅっとワザと聞かせれば、恥ずかしさで頬を染める彼だが嫌がる素振りもない。
「もう少し深くしようか」と囁けば小さく頷き応えてくれた。
康煕は彼を味わうように口唇を重ね離し、千隼の口腔へと舌を滑り込ませ絡めとると、ぴちゃっじゅるっちゅぽっと音を立てる。
「んっ・・・ぁ・・・ふぅ、・・・ん・・・ふぁ・・・こ、・・・こぅ、きぃ・・・」
接吻(キス)だけで反応を示す千隼を康煕は盗み見ながら、もっと乱れさせたい衝動を抑えながら堪能していた。
唇を離すと、お互いの口からツーッと混ざり合った唾液が糸を引いた。
「はっ・・・お前の唇も、口ん中も、甘くて美味い。もっと食わせろ」
熟れた果実のように甘く、本当にキス一つで喰い尽くしてしまうような錯覚さえ覚える。
可愛い千隼、俺だけの千隼。もしも、このまま一緒に生きていけるのなら他は要らない。
こいつ以外いらない。欲しくない。
なおも貪り続けていると、胸の中に閉じ込めていた彼が腰砕けになり躰を康煕に委ね預けた。
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