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大学試験合格発表の日、多くの受験者やその家族が合格掲示板を見つめる。
わたしも自分の受験番号を探す。
一瞬の静寂
「あった。合格だ。」
あっちこっちで、おめでとうや万歳、泣き崩れる学生たちの声が聞こえてくる。
「母さん、わたし受かったよ。」
わたしは、家で待つ母に電話した。
「うん。うん。良かった。良く頑張ったね。おめでとう。」
電話の向こうで泣いてる母。わたしもつられて涙が溢れる。
「ありがと。母さん、ありがと。」
同じ大学を受験した友だち達も回りに集まり
みなで喜んだ。
嬉しい、嬉しくてたまらない。
けれど、1番嬉しさを分かち合いたい貴方がいない。何故、貴方はいない。
貴方に、良かったなって、抱きしめてもらいたい。
その日の夜、
大学生の男子が路上から突然出てきたトラックに跳ねられ、死亡したニュースが報じられた。
「現場には、おめでとうのカードが添えられた色とりどりのチューリップの花束が、散らばっていたとのことです。春の交通安全期間中の出来事、気をつけたいものです。次のニュースです。」
ニュースキャスターが無表情で喋っている。
わたしは、テレビを消した。無意識に貴方のマフラーを爪痕が残るくらい、握っている。
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