kiseki

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 今日、俺は自殺をすることにした。死ぬのに痛みを伴うのは嫌だったので、大量の睡眠薬を用意して全ての連絡を絶った。大学進学を諦めて、やっとの思いで就いたブラック企業は数日前に辞めた。死ぬときに何も考えたくはなかったので、いつものように朝から生活した。夕飯を食べ、風呂に入り、テーブルを前に座った。睡眠薬のボトルを手に取る。飲み物を飲む要領と同じくして口の中へ流し込む。上から蓋をするようにもう片方の手に握ったぺとボトルの水に口を付ける。グッと喉をならして、口の中のものを奥へと運ぶ。それからは倒れるように後ろに体重を傾けて、目をつぶった。  目を覚ますと白い天井が遠くに見えた。ピッピッと機械音が耳元で鳴る。見知らぬ人の顔が視界に入って、その人は慌ただしくどこかへ行ってしまった。目を動かすだけで見える範囲から情報を得る。見た感じ、ここは病院だ。となるとさっきのは看護師で医者を呼びに行ったのだろうか。そのくらいのことを考えたところでまた意識が飛んだ。  次、目が覚めた時はゆっくりと肩を揺らされ寝ているところから起こされた時だった。近くには母親、看護師、医者がいた。そこで俺の意識がはっきりするまで少しの会話があってから、医者が本題に入った。俺は自殺を失敗したらしい。睡眠薬を飲んだ後、連絡がつかなくなって不安に思った母が俺の家に訪問。そこで倒れている俺を見つけて救急車を呼んだのだそうだ。  医者は睡眠薬を大量に飲んでから随分経ってからの蘇生は珍しいといっていた。特に俺が飲んだ睡眠薬は強力で、意識が戻ったのは「奇跡」といっていいらしい。
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