2. オーダーメイドの頼み方

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 チームミーティングは押した。雅臣は退社後、駅まで急いだ。改札口で発車時刻を確認してから、洋菓子店と若葉に電話を入れた。  洋菓子店には「閉店までには行きます」と言った。「お待ちしています」と言われた。  若葉の携帯には、繋がらなかった。  ホームで電車を待ちながら、喧嘩の原因を考えた。原因は複数ある。  わかっていることは、言いすぎた。怒りすぎた。  怒りすぎた原因は……まだ思い出したくもない。彼女の考えはわからない。  自分が洋菓子店に遅刻している原因は、ひとつしかない。  若葉のことしか考えていなかったからだ。まず謝りたい。  雅臣は電車に揺られながら、昔を思い出した。  高校を卒業してから、まもなく二年が経とうというころ。そろそろ母校に顔を出すのは、もうやめようと思った。共に高校を過ごした現三年生。彼らの卒業が潮時だ。  これで最後にしようと、高校を訪れた冬。  雅臣は、黙々と練習する二年生にも、声をかけた。 『仁科。高校卒業後も、陸上は続けるのか?』  声をかけられた彼は、脚のストレッチをやめた。 『いや……製菓の専門学校に行くので、思いきり走るのは高校でやめます』  将来はパティシエに。その夢は、OBではない他の部員たちは、もう知っていたようだった。こいつ料理より菓子がうまいらしいですよ。そんな軽口が飛んでいた。 『三年生になったら、もう部活も控えるつもりです。その分、今のうちにやっとこうと思って。……走るのも好きなので』  グラウンドの向こうには、仁科の練習を見つめる少女がいた。  雅臣は仁科の練習態度には、前々から感心していた。そして高校二年でやめるにはもったいない資質だとも、そのときに思った。  ささやかな親しみと嫉妬から、無理矢理、集合写真に参加させた。
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