2. オーダーメイドの頼み方

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2. オーダーメイドの頼み方

 世界にひとつだけの式。  結婚式の準備をはじめてからずっと、このフレーズを、ウェディングプランナーから聞かされてきた。最初こそ心が動かされたが、もう「はぁそうですか」という感情しか、津久田(つくだ)雅臣(まさおみ)には浮かばない。  中小企業勤めの自分には、挙式費用は、安くない金額だから。  雅臣の婚約者は、二十七歳の女性。ひとつ年上。彼女は『世界にひとつだけの式』に、まんざらでもない様子だ。 「大変だね」と言いつつ良い式にしよう、予算内におさめようと、毎日頑張っている。  雅臣は彼女のサポートに徹していたが、本音は別にあった。  そもそも『世界にひとつだけ』なんて、ありえない。ばかばかしい。  流行の演出。ありふれた余興。定番のブーケトスにケーキバイト。その組み合わせを変えただけで、世界にひとつだけとうたっている。大差はないのに。  そうぶつぶつと。内心、ひねくれながら。  雅臣は婚約者の桐生(きりゅう)若葉(わかば)から「本日のスケジュール」を聞いていた。  ふたりの前ではパンケーキが、香りある湯気を立て、表面にふつふつと穴をあけている。
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