僕の奥さんは雷日和

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僕には大変扱いづらい奥さんがいるんです。 とても怖い奥さん。 すぐ怒るんです。 僕の奥さんが怒ると 我が家の子供達もみんな静かになる。 具合が悪くて倦怠感や頭痛が酷いんです。 そんな時、僕が洗い物なんてするもんなら 「こんな時だけして」 とぶっきら棒に言うんだ。 そんな言い方しなくても… って思うけど言いません。 怒りがヒートアップしたら困るから。 女の子の日が近づくと それはもう我が家に雷が落ちたような空気で 僕も子供達もビクビク顔色を伺います。 お腹が空くとイライラします。 食べたいお店が定休日だと 「もうなんもいらない」 とふてくされます。 食べたいものが目の前にくると 大喜びして大盛りを平らげます。 僕の奥さんはとにかく食いしん坊で 食べてる時が一番幸せみたいなので 永遠に食べ続けていればいいと思うんだ。 そしたら怒られるずにすむのだから。 だけど大デブは大嫌いだから 程よいムチムチ感をキープしてもらいたい。 僕がたまに頭痛がすると言うと 「薬は飲んだの!?頭痛いんでしょ!なんでいつも自分で飲まないのよ!!」 と怒りながら薬を渡してくれるんだ。 心配ならもう少し優しく言ってくれてもいいのに って僕は思う。 たまに奥さんがいない時に洗い物をピカピカにしておくと 「洗い物したんだよー」 「ほんとだ!やってくれたんだね!!」 と喜んでくれる時が一番嬉しい。 でもこれがまた、機嫌が悪い時は 「やんなくていいわ!」 本気で怒る。 そんな言い方しなくてもいいじゃないか って僕は思うんだけど 僕の奥さんは基本的に体調が悪いから 朝から活発に動けなくて 最低限のやる事は私がやらなきゃいけないと思っているから だからそんな事を僕にやらせたくない、 やらせてしまった自分を責めているんだ。 それをうまく出せないから怒ってしまうんだ。 不器用だから。 機嫌が良い時は 誰よりも可愛くなる僕の奥さん。 「一日中離れてたんだもん」 なんて言いながらくっ付いてくるんだ。 嬉しい時は大喜びしてニッコリ笑顔を向けてくる そんな僕の奥さんは 自律神経が乱れまくっていて 天候にも敏感で、頭が痛いと言えば大抵次の日の天気は悪い。 そんな僕の奥さんの感情も 天気そのものだなと思う。 今日の奥さんは晴れ日和だな 今日の奥さんは…雷日和だ とにかく僕はそんな天気予報みたいな感情の奥さんに振り回されているんだ。 天気予報ってあまり気にした事なかったけど 最近はその天気予報を知るのが日課になってきた 明日の天気は晴れでありますように そう。僕は出来る事なら毎日晴れが良い。 晴れの時は気分がいい 雨の時はイライラ全開 台風の時は沈んでる じゃー雪の時はどうなるんだろう? と思ってた僕。 雪が降らないかなーといつも思ってて でもどうせ 雪も雨も変わらないからイライラ全開なんだろうなって予想してたんだ。 そんなある日 朝起きたら真っ白な雪がチラホラ降ってたんだ 「雪降ってるよ」 起きてきた奥さんにそう伝えると 窓際にきて一言 「ほんとだ…綺麗」 まさかの雪は 奥さんにとって良い気分だったらしい。 ほっとした僕でした。 雪を綺麗という奥さんも どうしようもない奥さんも 全部ふくめて僕の大切な可愛い奥さん。 明日も真っ白い雪が降りますように。 そして 雪が好きだと知った僕はベランダの雪を 奥さん目掛けて投げたら とてつもなく激怒された僕でした。 END.
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