借り腹さん

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****** その屋敷の真ん中。 襖で四方を囲まれた八畳ほどの部屋に、わたしは連れて行かれる。 真っ白な寝具が敷かれてあった。 特注誂えだろう。 ずいぶんと幅の広い、絹綿の布団が一組。 行燈とろうそくが、部屋の明かりだった。 電気は、ここまで通っていないのだろうか? 中に入るようにと、わたしに声を掛けたのは、なんと父だった。 「おとうさん……なんなの、これ? どうしてこんなこと」 わたしは甘えた声で縋りつく。 「ねえ、うちに帰して。わたし春から大学に行くのよね。女子寮に持っていくものだって、色々買ってくれたじゃない? スーツだって誂えてくれたでしょ」 でも。 「……これから、双子さまがおいでになる。ここで待っていなさい」 それだけ言い置くと、父はわたしの眼前でぴしゃりと襖を閉めた。 「待っていろ」と言われて、黙ってここに座っている義理もないのだ。 わたしは襖を引き開けようとした。 でもなぜか、それはビクともしなかった。 四面全部の襖を試したけれど、どこもまったく開かない。 わたしは閉じ込められてしまっていた。 一通り泣きわめいてから、わたしは、「いっそろうそくの火でも襖に投げつけてやろうか……」などと考える。 すると突然に、部屋の明かりがかき消えた。 窓ひとつないその部屋は、真に暗がりに沈んだ。 恐怖のあまり、冷や汗が噴き出る。 あたりが再び、ふわりと明るくなった。 そして気付くと。 目の前に男の双子が立っていた。 歳の頃はわからない。 ハタチか、その前後。 同じ顔、同じ姿をしたふたりの男。 ひとりは肩につくほどの長髪。もうひとりは短髪だった。 色は黒か濃紫の、羽二重を着流しにしている。 そんな年齢には全く似合わないような装いにもかかわらず、やけに着慣れた様子で、双子は、足袋のない素足で歩み寄ってくる。 「……え、ふたご、さま…?」 わたしは呆然と呟く。 短髪の方が唐突に、「僕は龍哉」と名のった。 そして長髪の片割れを指し示し、「弟の周哉だよ」と告げる。 そして、「じゃあ、腹を借りるよ」と言い、着物を脱ぎ始めた。 帯を解き締めこみを緩めると、双子は、スルリと一糸まとわぬ姿となる。 男性経験はなかったが、一般的な男の一物がどんなものかは、わたしも、うっすらとは知っていた。 だから。 双子の「男根」が、ともかく尋常ではない大きさであることは分かった。 グロテスクな「それ」には、恐怖しか感じない。 長髪の……「周哉」の方が近づいてきて、わたしのブラウスの合わせを左右に引きちぎる。 悲鳴が喉でくぐもった。 あらわになった胸元に、短髪の龍哉が顔を寄せる。 ペロリと乳首を舐められた。 繰り返し繰り返し、舌で抉るように弄られて、わたしのそこは充血して固く立ちあがり始めてしまう。 「ねえ、(シュウ)」 わたしの乳首をくちびるで挟んで引っ張りながら、短髪の龍哉が言う。 「女のおっぱいってさ、コリコリしてる。先っぽが大きくなってイヤラシイね」 ジワジワこみ上げて続けていた快感が、一気にツキンと突き上げた。 わたしは、思わず声を上げる。 「あれ、シュウ、『借り腹さん』、おっぱいが気持ちいいみたいだ」 言って龍哉がニコリと笑んだ。 双子は大層な美男で、笑顔はとても甘かった。 その上、龍哉の笑い顔は言葉と同様、無邪気すぎるほどに無邪気だったから、「この男は、もしやすこし頭が遅いのでは?」とすら感じてしまうほどだった。 「ああ、すごくマラが勃ってきた。いい具合だよ」 龍が言う。 「股の穴に入れるんだよね。もういいかな、しても」 すると、長髪の「シュウ」の方が、わたしの脚の間に手を入れた。そして、 「ヌルヌルしてるし、たぶんいいんじゃないか?」と、自らの片割れ応じた。 「うん、ぼくもヌルヌルだ」と言って、龍が自分のマラをひとつ扱く。 じゅくりと音がして、透明な液がしたたった。 嗅いだことのない生臭い匂いが、ムンと立ち上って、瞼が、こみ上げる涙で熱くなる。 「やだ、や…いや」 裏返ってかすれる声で繰り返し、わたしは身じろぐ。 でも、龍の両手で腰を抑えつけられて、ろくに動けはしなかった。 シュウがわたしの膝をこじ開け、下着を剥ぎ取る。 龍があてずっぽうに腰を押し付けてきた。 大きく固い肉塊が、やわらかい場所を抉る。 引きつって擦れる痛みに、わたしは悲鳴を上げた。 「あれ、入らないよ、どこに穴がある?」 龍が、不満そうに口にする。 その腰を緩めさせて、シュウが「ここだろ?」と、わたしの膣に、ずぷりと指を突っ込んだ。 「ああ、そこか」と納得の声を上げて、龍がまた男根を押し当ててくる。 「…いたい、いたい、いやーっ、やめて…っ」 わたしは泣きわめく。 するとシュウが、 「龍(ニイ)、さっさと挿れろよ。痛がってウルサイ」と言い放つ。 「だって、狭くて入らない」 「もっと強くやれよ」 弟の声に押されるようにして、龍がさらに力を込めた。 ズブと、中に異物が入ってきたのを感じた。 それがめり込んだ瞬間に、多分、わたしの入り口は切れて血を流したはずだ。 遅れて激痛が走った。 悲鳴が張り裂ける。 「あ、ねえ、シュウ。すごい……すごいよ、なか、グチュグチュしてて、熱くて、ひだひだが吸い付いて」 腰を擦り付けながら、龍が息を荒らげる。 「きもち、い……、きもちいい、よぉ、すごい、きもちいい、オメコきもちいい」 龍が、身も世もなくよがり声を上げる。 その痴態を凝視しながら、周哉は、自分の巨大な陰茎をペタペタと掌で打ち据えた。 いま挿入されている男性器は、お腹のなかを抉り取られるような大きさのはずなのに。 わたしもまた、猛烈に「きもちがよく」なっていた。 擦られる内側がジンジンと痺れて熱く、もうどうしようもなくなる。 気づけば、しっかりと両脚に龍の腰を咥え込んで、 「ひっ、あ、あっ、あぁ、いい、い…い、もっと、じゅぽじゅぽして」とヨガっていた。 「ん、ひっ、もっと奥、おく……ぅ」 行き止まりを激しく突き上げられれば、そうされるほど、もっと刺激が欲しくてたまらなかった。 「もう、でちゃう、でちゃう、イクっ……いく…ぅ」 泣きそうに言って、龍がふと腰を止める。 中でジワジワと熱いものが広がっていくのを感じた。 「龍兄、早すぎ……」 シュウが苦笑する。 「一回出したなら、とりあえず代われよ」 うんと頷き、龍哉がマラを引き抜いた。 大きく固いそれにまとわりついていた内襞が、裏返ってズルリと体外に引き出されそうになる。 ひとつ、大きなよがり声が口をついた。 引き抜かれた龍哉の陰茎と周哉の陰茎が、眼前に並ぶ。 どちらも怖ろしいまでに大きかったが、二つはハッキリ異なっていた。 龍のものは、左にしなっていて、シュウのは逆に、右にしなっている。 そしてシュウが、わたしの膝をさらに大きく割って、自らのモノを押し当ててきた。 もちろん、わたしの膣の入り口と男根の大きさはまるで違うから、簡単には入らない。 でも、周哉は思い切りよく、わたしに腰を打ち付けて、一気に内に入り込んだ。 再び押し寄せた猛烈な圧迫感に、わたしの頭は真っ白になる。 ずぶずぶと、シュウがわたしを穿っていく。 顔が全く同じであろうが、髪が長かろうが短かろうが……。 このふたりの区別は、「入ってくれば」簡単につくのだと分かった。 曲がり方の違いで、「当たる場所」が、まるで違った。 シュウに突き上げられて、わたしは何度も「イク」。 イクというのが、どんなことか。 言葉でしかしらなかったけれど、これがそうだと、すぐに分かった。 龍は、わたしの胸をチュパチュパ吸っていた。 固く勃起したその場所の歯ざわりが楽しいのだろう。 乳首は執拗に舌でこね回され、前歯で食まれた。 そして、その刺激が、わたしには気持ちよくて堪らない。腰や腿が、びくびくと引きつり、声が止まらなかった。 シュウが、ズクリと、奥の奥まで抉る。 「あ、あっ、また…いくっ、いくの…いくぅ……っ」 無我夢中に叫んだら、自分の奥がぎゅうっとしまって小刻みに痙攣を始めた。 それに引きずられるようにして、とうとう、シュウが熱いものを放出する。 まるで、子宮がゴクゴクと液体を飲み込んでいるみたいだった。 ああ。「孕む」というのは、こういうことなのだと。 一歩も下りられないような絶頂を極めながら、わたしは、ただ確信した。
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