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「は、はい。この箱でございます。」
ナリアは頬をりんごの様に赤く染め上げながら若干上ずった声で、前を向いたまま背後にいる人物へと返事をする。
すると、ナリアの返事を聞いた人物はナリアの背中から離れると今度はゆっくりとナリアの横側へと移動して来た。
「重かろう?私が持って行く。」
その人物からの提案に、ナリアは手にした箱を落としそうな勢いで大仰に体を横に振りながら拒否する。
「いいえ!アサド様に荷物を持ってもらうなどと滅相もございません!」
ナリアが赤い顔のまま向ける斜め上の視線の先には、マリアゴルド国騎士団団長アサドの姿があった。
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