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特に男子が多い騎士団の団員達からは絶大な人気を誇り、廊下ですれ違うだけでもため息を漏らしナリアに見入る者が少なくなかった。
しかし当の本人はそんな事に気が付く事もなく、日々主のヒンニィの世話に明け暮れていた。
ヒンニィが産まれた時からずっと一緒なので、ヒンニィは立場は違えどナリアの事を実の姉の様に慕い、これ以上ないほどの信頼を寄せている。
またナリアもヒンニィが立派な王女として、そしていずれ嫁ぐ予定の隣国マリアテレザ国の王妃として恥ずかしくない様な立派な所作や教養を身に付ける手助けをしているのだという今の自分の仕事への誇りが気持ちの支えでもあった。
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ヒンニィの部屋の前へと到着すると、アサドは手に持っていた花瓶の入った箱をナリアへと手渡すと、颯爽と廊下を歩いて行ってしまった。
その大きく広い背中を、ナリアは羨望の眼差しで見つめていた。
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