彼女の手作り 後編

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「マフラーの時期でもないし、  それに、あなたはそっちの方が使ってくれるでしょ」 確かに、貧乏性のわたしは、 プレゼントされたものを使うのがもったいない気がして、 それをためらってしまう傾向がある。 だが、これは使わざるを得ないというか、 特別な日に使うようなものでもない。 入っていたのは、枕だった。 「マフラーとまくらー。なんだか似てるでしょ」 『イヤイヤ、伸ばしただけやん。でも今度使うよ。ありがとう』 「ううん、あなたの使ってたの捨てちゃったから、今夜から使ってね。  だって油みたいな臭いがして、カバー換えても変わらないのよ」 『エッ…』 「フフフ、冗談ですよ」 どこまでが本気なのか、美香は皴の刻まれた顔に満面の笑みをたたえながら、 渋いお茶を美味しそうに啜っているのであった。
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