2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「マフラーの時期でもないし、
それに、あなたはそっちの方が使ってくれるでしょ」
確かに、貧乏性のわたしは、
プレゼントされたものを使うのがもったいない気がして、
それをためらってしまう傾向がある。
だが、これは使わざるを得ないというか、
特別な日に使うようなものでもない。
入っていたのは、枕だった。
「マフラーとまくらー。なんだか似てるでしょ」
『イヤイヤ、伸ばしただけやん。でも今度使うよ。ありがとう』
「ううん、あなたの使ってたの捨てちゃったから、今夜から使ってね。
だって油みたいな臭いがして、カバー換えても変わらないのよ」
『エッ…』
「フフフ、冗談ですよ」
どこまでが本気なのか、美香は皴の刻まれた顔に満面の笑みをたたえながら、
渋いお茶を美味しそうに啜っているのであった。
最初のコメントを投稿しよう!