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「僕とスカイは何でもないけど、その……そんなに僕の事を好きでいてくれたの?」
「ああ。何度告げても言い足りないくらいに、愛しているんだ」
「僕もシオンが好きだよ」
それから僕達はキスをした。
そうして――一度、それぞれ入浴してから、僕達はその夜も、食事の為に、『苔庭のイタチ亭』へと向かう事に決めた。
「いらっしゃいませー!」
ノエリオ君が最初に声をかけてくれた。
「おう、ロイス」
続いてスカイがこちらに気がついた。そうして僕とシオンをそれぞれ見ると、楽しそうな顔になった。ニヤニヤしている。するとシオンが僕の手を急に握った。そして目を細めてスカイを見た。結果、スカイが吹き出した。
「俺とロイスの関係は、誤解ですって。えっと、どうぞ、好きなお席に」
「――今日からは、ロイスの隣に座る」
それを聞いて、僕は赤面してしまったので、顔を隠すように俯いた。座るとすぐに、ウィルが注文を取りに来てくれた。僕はいつも通り、ブランダードを頼もうと思ったのだが、僕が伝える前に、それをシオンが注文した。
「いつもこれを食べていただろう?」
「うん。知ってたの?」
「毎日見ていたからな」
その後、他の料理もシオンが注文した。そして僕は、本日はアルコールを頼む事にした。結ばれて一夜開けた、特別な日だからだ。紅苺や黒苺と発泡性の葡萄酒で作られたミックスベリーのカクテルが、すぐに届いた。シオンはジンベースのカクテルを注文したようだった。
「乾杯」
シオンの言葉に頷いて、僕は笑顔でグラスを合わせた。
「お前の笑顔が俺に向くようになって、すごく幸せだ」
「それ、僕の台詞だよ」
「そうか? 俺は……確かにロイスを見ると照れそうになってしまって、隠すために硬い表情をしていたかもしれないが――ずっと心の中では舞い上がっていたんだぞ?」
冗談めかしてシオンが言う。それが擽ったく思えて、僕は小さく吹き出した。
その後届いた料理を食べていると、スカイが外套を羽織って出てくるのが見えた。
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