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全くの別人であっても、その痕跡は何よりも私自身を俯瞰させる力を秘めていた。
きっとこの足跡の主も、私と同じように、不完全な迷子として、焦燥を抱え込み、混乱の行き渡る中で理想の足跡を追いかけていったのだ。
そして始まりも終わりも不明確なままに、外部の灰色に飲まれてしまうか、それともその前に、私のように内面的な宇宙空間を形成して、究極の退屈しのぎの場として牽制していくのかの二択を迫られたのだ。
孤独な世界、外部もあてにならないこの世界では、0か1の選択だ。
私は1を勝ち取った。
勝ち取れたと思い込んでいたが、幻想だった。
私は己の宇宙空間が乱れていくのを、遠くから見ていた。
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