砂漠の足跡

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無心、無心と禅を組むごとく心の中で構築されていく形は、壺のようになだらかな膨らみを持たせていく。 画策もなく、雑念の汚れを丁寧に磨いていき、透明度は高くなる。 煌びやかに、それでも派手さはない、純な宇宙空間が形成されていく。 たとえ外の世界は虚しさの勾配を繰り返していく中であっても。 いやむしろそのような苦渋が、帰って私の心を綺麗なものへと形成していくのだろう。 変わらない景色でも、少しずつ変わっていくのだ。 誰に見られなくとも、私の鼓動は明らかに世界への大きな一歩を踏み出す。 乱れた足取りも、確実な証拠として、私の勲章になる。 もはや過去の無様な化石のような足跡すらも、受け入れられるほどに、その宇宙空間は無限に広がる。 砂漠すらも、飲み込んでしまうほどに。
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