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砂の丘陵が周り一体に形成されている空間の中心は、休息地のように平坦な地を確保している。
私はその中心で意識的に、歩みを止めたのだ。
ずっと、理想の形ともいえる足跡の隣を歩いていたのだが、その平坦な地に着いた時の展開は、全くの想定外だった。
砂漠は変わらない。
空の色も、相変わらずの青空で、太陽は不動の位置から私を照らしている。
理想の足跡も、恐ろしいほどに秩序を維持したままだ。
変わったのは、私の位置だけだろう。
移動することが何かの顛末に近づくのは自明のはずだが、私はその先端が垣間見えただけで緊張を高めていった。
目の前には、新しい足跡が増えていた。
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