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「……俺? 俺はねぇ……2個上の戸倉さん」 躊躇なく言う?……戸倉さん。聞いたことある。戸倉さん…… 「って、あのめっちゃ美人で有名だった、あの人!?」 「うん、そうだな。美人だったぁ」 大瀬戸くんは、そう言うと大事な思い出を開くように顔を緩ませた。だいたい、飲み進める前に言うんだもん、言ってもいいくらい素敵な思い出なのだろう。  「いい思い出なんだろうね」 私がそう言うと 「男のロマンのような、シチュ」 「なぁに、それ」 「ははっ」 大瀬戸くんは、笑ってそれ以上は教えてくれなかった。そして、それ以上私の話も聞かなかったので森くんの話は、単にからかっただけなのだろう。……私達の出会いのシーンを回顧しただけ。 私のスマホにSNSの通知が来た事で、その話題になった。 「何かしてる?」 「俺、一切してないの、SNS」 「それ、珍しいね」 「嫌な思い出しかなくて。やめた」 「あ、でも元カノの現況とか知れるよ!?」 ……大瀬戸くんの顔からそれが地雷であった事を悟ったが口から出た言葉は戻せず、しまった。と思っただけ。 「今カノの事を知ってしまった挙げ句、元カノからも、連絡来るわ、もうカオス」 「わあ、大変だ。だけど、元カノに未練持たれるって事はそれだけいい男って事で。あ、それか別れ方が下手だったのかな」 ……大瀬戸くんの強ばった笑顔に、またしても地雷を踏んだらしい。 「ま、女見る目が養えて……良かったじゃない。……えっと、今は彼女いるの?」 「だからぁ、今カノの事を知ってしまったって、言ってるだろ」 ……お、ごくごく最近のお話でしたか。 「慰めましょうか?」 「いえ、お気遣いなく。……そちらは?」 「仲良くやってます」 「へぇ、SNSに女の影が……」 大瀬戸くんがわざとらしく悪意ある目を向けてくる。 「無い!」 大瀬戸くんだって、勿論冗談で言ったのだと思う。だけど、一応確認してみたり……して。 「あはは!確認してんじゃん」 「一応よ、一応」 私の彼氏のSNSには女の人がいっぱいいるけど、分からない。
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