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エピローグ
いつもの平凡でも幸せな日常が過ぎていく。司は元気に学校へ通い。優子は家事をしてくれ、俺は仕事を頑張る。
「悪夢は終わったみたいだな」
草壁が仕事の休憩中に言った。
「そうだな」
俺はうなずく。終わった。笹木は逮捕された事で悪夢は終わった。幸せを噛み締める。
最高の妻と息子と三人で生きていく。これから何が起きても家族で乗り越えていける。
仕事が終わると真っ直ぐ家へ帰る。優子と司の待つ渡邉家へ。
ゆっくりと走る男。渡邉家の前で立ち止まり郵便受けを覗く。そして男はゆっくりと渡邉家を去る。男はニヤニヤとして優子の写真を見る。
「今日はすき焼き」
司が言った。俺は司の頭を撫でる。
「奮発したなぁ」
俺は肉の量に驚く。
「だって達也、司一人っ子よ」
なんの関係があるんだ?
「達也は特別にマムシドリンクも」
優子は微笑む。
あぁ、そういう事か。
「マムシドリンクなんかなくても大丈夫だよ」
俺は苦笑する。
と、電話がなる。俺は携帯に出る。
草壁は自動車に退かれて即死だったらしい。草壁の兄が言うには優子の写真を握りしめて死んだという。まさかと思う。草壁は優子を?部屋を見て欲しいと草壁兄は恥ずかしそうに頼んできた。
「渡邉さんには謝る、申し訳ない」
と草壁兄は言ったがなんの事かわからない。
草壁の部屋は渡邉優子で溢れていた。
マジか?草壁?お前····。
「草壁は、優子を?」
「だいぶ前から、おかしくなってた」
草壁兄が言った。
気付かなかった。
渡邉家に帰ると優子と司が迎えてくれる。
俺は草壁が優子に執着していた事は言わないでいた。
ただ草壁が亡くなったと。
草壁も笹木のようになっていただろうか?わからない。けど、知らないだけで優子に恋する男は多いのだろう。
だから、俺は、優子を誰よりも幸せにしなければ。
司を誰よりも幸せにしなければ。
そう思う。
この先何が起きようとも。
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