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「……リュウじゃない?」
その言葉に思わずアオイに視線を戻すと、至近距離で琥珀色の瞳が私を見ていた。
だから違うから!
そう叫びたいのに開いた唇からは、言葉は何も出てこなかった。
「誰、おまえ」
「アオイ何やってんの?」
琥珀色の男の子が怪訝そうに私に問いかけるのと、彼の後ろからもう一人別の男の子が登場するのとが同時だった。
アオイは、私が琉心じゃないと気づくやいなや、私から距離を取りまるで不審者を見るかのような目つきで私を見てきた。
いやいや、被害者は私でしょー!
そのアオイの後ろからひょっこり顔を出したのは、長身で眼鏡をかけた優し気な面立ちの男の子。
彼の名前は確か『ハルト』だ。アオイと違って声色も柔らかいから、思わず助けを求めるようにそっちに視線を送ってしまった。
「あれ、誰その子? リュウの妹かなんか?」
「私は琉心の姉ですっ。お、弟は!?」
ハルトとアオイは気まずそうに顔を合わせて黙ってしまった。
「なになに、ハルト。俺にも見せてよー」
空気を読まない軽い声が、眼鏡の男の子の背中から聞こえてきた。
ハルトがリビングの出入り口をふさぐように立っていたから、後ろから男の子が彼を押しのけるようにリビングから飛び出てきた。
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