1. 弟がアイドルに!?

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 皆が出て行くと途端に静寂に包まれたリビングが広く感じる。こんな広すぎる空間に、琉心はひとりで何を想って過ごしていたのだろう。   一瞬、そんな感傷に浸りかけたけれど、よく考えたらAirの皆は昨日からこの家にいたっていうし、おそらく日常的に集まったり、泊まったりしているんだろう。琉心のことだから、寂しく過ごしてたことなんてなかったに違いない。 「Airかあ……」  確かに間宮さんの言っていた通り、かっこいい男の子達だと思う。ダンスの実力はどうか知らないけれど、顔がかっこいいってだけじゃなく雰囲気も人を惹きつけるオーラを持った人達だ。一緒の空間にいるだけで、ドキドキしてしまうような。  もし間宮さんの言うように、Airが既に女子高生に人気のグループだったとしたら、ハルトに彼氏のフリをしてもらえるとしても、堂々と彼氏ですだなんて、紹介できない。  それはそれで間宮さんが卒倒してしまうし、表立って嘘を吐くのは気が引ける。そしてAirに迷惑がかかってしまう。  だからほんのちょっと。ほんのちょっとだけ。  速水さん彼氏いるんでしょ? って言ってくれてるあの子達の好奇心を満たせる程度でいい。  チラッと背中を見せる程度の存在感でいい。有名人じゃなくて全然いい。それぐらいのお願いなら、ハルトも叶えてくれるんじゃない?  思わぬところで私の願いが叶ってしまいそうなチャンスに、私の頭の中はすっかり支配されてしまっていた。
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