1. 弟がアイドルに!?

35/38

496人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
 そういえば動画の中の琉心って金髪だった。けど私がこんな目立つウイッグほんとにつけるの……? 「お、サイズピッタリ。すげえ、俺」  アオイは自分でも意外だったのか少し目を見開くと、満足そうにそのままウイッグ越しの私の頭をぽんぽんした。  私は勝手にアオイにはよく思われていないと思っていたから、こんな風に親しげにされて内心驚いていた。 「この上にキャップ被れば、あんま顔も見えないし、いいんじゃね」  アオイがウイッグの微妙なズレを調整し始める。さっきから何度も触られてしまっている。  それが恥ずかしくて私はうつむきがちに言った。 「顔……、そうだよね。私、リュウちゃんみたいに綺麗な顔してないし、見えない方が無難だよね」  いくら似ているからといっても私は劣化版だし。  自分で言ってて卑屈っぽいなと思ったから、誤魔化そうと顔をあげると、アオイは不思議そうな顔をしていた。  アオイの瞳は色素が薄くてビー玉みたいに綺麗。だから吸い込まれたみたいに視線を外せなくなった。アオイも私の目を覗き込むようにして言った。 「なんで?」  「なんでって……、琉心の方が可愛いから」 「可愛い? リュウが?」  アオイは首を傾げた。アオイの美的感覚じゃ琉心も一般的なのか。確かにアオイは綺麗な顔してるもんな。じゃあ私なんてミジンコか。それ以下か。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

496人が本棚に入れています
本棚に追加