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そういえば動画の中の琉心って金髪だった。けど私がこんな目立つウイッグほんとにつけるの……?
「お、サイズピッタリ。すげえ、俺」
アオイは自分でも意外だったのか少し目を見開くと、満足そうにそのままウイッグ越しの私の頭をぽんぽんした。
私は勝手にアオイにはよく思われていないと思っていたから、こんな風に親しげにされて内心驚いていた。
「この上にキャップ被れば、あんま顔も見えないし、いいんじゃね」
アオイがウイッグの微妙なズレを調整し始める。さっきから何度も触られてしまっている。
それが恥ずかしくて私はうつむきがちに言った。
「顔……、そうだよね。私、リュウちゃんみたいに綺麗な顔してないし、見えない方が無難だよね」
いくら似ているからといっても私は劣化版だし。
自分で言ってて卑屈っぽいなと思ったから、誤魔化そうと顔をあげると、アオイは不思議そうな顔をしていた。
アオイの瞳は色素が薄くてビー玉みたいに綺麗。だから吸い込まれたみたいに視線を外せなくなった。アオイも私の目を覗き込むようにして言った。
「なんで?」
「なんでって……、琉心の方が可愛いから」
「可愛い? リュウが?」
アオイは首を傾げた。アオイの美的感覚じゃ琉心も一般的なのか。確かにアオイは綺麗な顔してるもんな。じゃあ私なんてミジンコか。それ以下か。
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