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夕暮れに染まるリビング。目の前には琥珀色の瞳をした綺麗な男の子。
微妙な空気が流れた。もしかしたら私は意識しているせいで顔が赤くなっているのかもしれない。いや、なっていると思う。
そしてそれにアオイは気づいたのかもしれない。だって、ほら。アオイの顔がつられて若干、赤くなってきたような気がする。
や、やめてよ、変な感じになるからー!
私、こういうのホントに慣れていないんだってば!!
「……似合ってる」
「へ? あ、ど、どうも……」
照れ隠しなのか、なんなのか。
似合っているのはウイッグなのか、キャップなのか。
よくわからないけれど、ここで褒め言葉っぽいことを言われるのは、余計に恥ずかしいからー!
そんなことを考えているのはアオイも一緒なのか、少し横に目線を逸らして「帰る」と唐突に言い出した。私にとっては助け船だ。
「そうだね。皆もいないしね! ここには私が残るから、安心して帰っていいよ!」
アオイがまた驚いた表情をする。しまった、アオイに帰ってほしくて必要以上に協力的な態度を取ってしまった。また怪しまれる。
さっきまでのユーリとハルトの様子を思い出して焦っていると、アオイはふっと笑った。
――え。
思ってた反応と全然違ったので、思わず固まってしまう。
笑うとアオイの切れ長の瞳が、優しそうに緩む。思っていたよりもずっと優しい笑顔を見せられて、心臓がつかまれたようにキュッと息が苦しくなった。
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