1. 弟がアイドルに!?

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 目を奪われるってこういうことをいうんだって、身を持って体感した。  アオイはそんな私の反応なんて気づきもせずに嬉しそうに言った。 「協力してくれる気になったってことだよな。ありがとな」 「……え」  えぇー!! 私が協力するって100%信じてるよ、アオイ!  しかもありがとうとかお礼まで言われちゃって、もう私どうしたらいいのっ。 「じゃあ、また明日な」 「……う、うん」  アオイはやっぱり私が思っているよりもずっと、素直な性格なのかもしれない。  アオイがリビングから出て行く頃には、ゆっくりと部屋の光彩も落ちてきて、私はその場にがっくりと膝をついてしまった。 「……どうしよう」  頭にはウイッグとアオイのキャップ。そして『また明日』の約束。さらには去り際の「いい奴だな、おまえ」というダメ押しの台詞。  ――完っ全に、明日行くことになってんじゃん、私!!  まだ迷ってたつもりだったんですけど、自分の中じゃー!  盛大に心の中で叫んでみたところで、当然誰にも届かなかった。
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