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目を奪われるってこういうことをいうんだって、身を持って体感した。
アオイはそんな私の反応なんて気づきもせずに嬉しそうに言った。
「協力してくれる気になったってことだよな。ありがとな」
「……え」
えぇー!! 私が協力するって100%信じてるよ、アオイ!
しかもありがとうとかお礼まで言われちゃって、もう私どうしたらいいのっ。
「じゃあ、また明日な」
「……う、うん」
アオイはやっぱり私が思っているよりもずっと、素直な性格なのかもしれない。
アオイがリビングから出て行く頃には、ゆっくりと部屋の光彩も落ちてきて、私はその場にがっくりと膝をついてしまった。
「……どうしよう」
頭にはウイッグとアオイのキャップ。そして『また明日』の約束。さらには去り際の「いい奴だな、おまえ」というダメ押しの台詞。
――完っ全に、明日行くことになってんじゃん、私!!
まだ迷ってたつもりだったんですけど、自分の中じゃー!
盛大に心の中で叫んでみたところで、当然誰にも届かなかった。
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