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撮影会の会場はビル内のスタジオを貸し切ってやるらしく、私はその本格的な設備に驚いていた。
集合時間前に撮影スタジオを見学させてもらって、それから出場する八チーム合同の控室に案内され、そこで説明会があった。
私はAirのダンス動画はチェックしたけれど、他の出場者たちの情報は全く頭に入れていなかったので、内心、他のチームに興味津々だった。
女の子だけのチームも一組だけいた。ヒラヒラしたチアガールみたいなカワイイ衣装を着ている。
見たいけれど自分という存在がバレたらAirは即失格になってしまうので、おおっぴらに見ることも叶わない。できる限り下を向いて、誰とも目が合わないように努めた。
説明会の中でチームごとの写真をHPに公開すること、そこに簡単なインタビュー記事を載せることが説明された。
インタビューなんて聞いてないよ……。
しゃべったら絶対に性別が違うことがバレちゃう。
どうしよう。
心臓がすごい速さで鳴り出した。
同じように動揺しているはずなのに、近くに立っているハルトがすぐに、「大丈夫」と小声で声をかけてくれた。
「俺が全部答えるから」と。
やっぱりハルトは頼りになる。私は声を出さないようにコクリとうなずいた。
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