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2.身代わり撮影開始
その夜はドキドキしてよく眠れなかった。
カタンと物音がしては、琉心が帰ってきたんじゃないかと目が覚めて、寝つけなくて私はスマホでAirの踊っている動画をチェックした。
Airのファン登録者数を見ると万単位の人数がいて、喉元から心臓が飛び出そうになった。そんなに大勢の人がAirの活動を見守っているだなんて思ってもみなかったから。
音楽に合わせて目まぐるしく変わるフォーメーションと、スパッと軽やかに決まる手足の動きに、ダンスに疎い私ですら、キレのあるダンスなんだなって分かる。
いつの間にか動画に見入っていて、夜中だというのにネットに上げてある動画を、全て再生してしまっていた。アオイと琉心はいつもセンターで踊っていて、ソロも掛け合いもすごくかっこよかった。
画面越しでも伝わる。琉心がすごくキラキラした世界にいるんだっていうこと。
そのことにまた少し落ち込んでしまったけれど、アオイが言った「違う人間だから、当たり前」という言葉を噛み締めて、枕に顔を埋めた。
私は私でしかない。だから今、私にできることをやるしかない。
琉心にこれ以上目立つような活動をしてほしくないっていう気持ちには変わりはないけれど、それでも明日の写真撮影でわざと皆の足を引っ張るようなことはしたくないと思う。
寝不足でクマができませんように……。
目を閉じるとAirの皆が躍っている映像が頭の中でぐるぐる流れて、夢の中でも皆で踊っていた。
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